ハンガリー建築の妻壁

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左と右、どちらも9寸勾配。

しかし、左のほうがシャープに見え、右はやわらかく見える。

左は円弧を使って、くびれを強調している。

対して左はフリーハンドで、なめらかな線を描いた。

左のデザインはハンガリーの建築を参考にしている。

 

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地質学研究所はハンガリーの建築家レヒネル・エデン*が20世紀初頭に設計した作品。

デザインは当時流行したアール・ヌーボーをベースにしている。

そこに、ハンガリー伝統工芸のデザインを取り入れたといわれる。

デザインはハンガリーの刺繍(カロチャ刺繍)の模様を参考にしたという説がある。

しかし、カロチャ刺繍のほうがエデンのデザインを参考にしたという説もある。

 

カロチャ刺繍の歴史 ハンガリー食品・雑貨輸入販売 コツカマチカ

162 ハンガリー ~刺しゅう 代表的な「カロチャ」「マチョー」 - 週刊長野記事アーカイブ

 

どちらにしても、ハンガリー(マジャール)民族の独自性を追求したデザインなのだ。

エデンの作品で、特に注目してほしいのは、壁の上部や窓周りの装飾だ。

パリのアール・ヌーボーにはない、絵本から飛び出したような、かわいらしい装飾である。

 

今回、壁と一体になった三角形部分を「妻壁」と書いたが、少し調べただけでもたくさんの種類や言い方があるようだった。

切妻、正面妻壁、破風、立ち上がり壁、ゲーブル(Douch Gable)など。

デザインを検索するときにキーワードとして使ってみてください。

妻壁 (Gable)

 

*ハンガリー人の名前は苗字→名前の順番、日本と同じ。

なので、正確にはエデン・レヒネル。

有名な作曲家・ピアニストのフランツ・リストも、実はリスト・フランツ。

 

参考文献

・レヒネル・エデンの建築 INAXギャラリー 1990

・レヒネル・エデンの建築探訪 寺田生子 渡辺美紀 彰国社 1994

ハンガリーの建築タイル紀行 INAX出版 2005